サザエさんの東京物語

サザエさんの東京物語
長谷川洋子 著 / 文春文庫

写真の文庫本は、長谷川町子先生の妹さんが書かれたエッセイです。以前から気になっていた本で、「本とコーヒー tegamisha」で購入したものです。
長谷川町子先生関連の本はこれまでたくさん読みました。妹さんのエッセイには仲の良かった長谷川家の三人姉妹が晩年に仲たがいする過程が記されているということを事前に知り、長谷川家ファンとしては読むのを躊躇してしまっていました。しかし、長谷川町子先生はあまり公には出てこられない方だったので、ご家族の方からこうして先生のいろいろなエピソードをお聞きすることができて楽しく読むことができました。

会社勤めをしていた頃、長谷川町子全集が出版されることになり毎月2冊ずつ配達してくれるという情報を得て、毎月会社へ届けてもらっていたことがあります。
漫画で読むのと、子どもの頃からテレビで観ていたサザエさんとは少し違いました。サザエさんがときどきパートのようなことをしていたり(頼まれて服を仕立てたり、家政婦をやってみるがホームシックにかかりたった一日で辞めてしまう)、意外だったのがカツオ君よりワカメちゃんの方が抜け目がなくしたたかだったこと(と、自分は感じました)。でも自分は、漫画の方が断然好きです。

年末には正月用の餅を餅屋さんに頼みに行ったり、大晦日にはサザエさんとフネさんがバタバタと大掃除やおせち作りに追われ、子どもたちはお風呂に入りポカポカになって(カツオ君の頭から湯気が出ていた)紅白歌合戦を家族みんなで楽しみ、年越しそばを食べるなど、サザエさんには年中行事が必ず織り込まれているのがまた良いところです。

先日、桜新町駅近くまで行きました。久しぶりに長谷川町子美術館に立ち寄りたくなりましたが、時間がなくあきらめました。以前は何度か訪れ、当時1階は長谷川町子先生が収集された絵画作品が展示されていて、2階がサザエさんのスペースでした。あれからもう何年も経つので、いまはどうなっているのかはわかりません。磯野家の家屋の模型図があり上から見ることができるので、それまで謎だった間取り図があきらかになり、すっきりしました。

長谷川町子全集は、サザエさんの他に「仲良し手帖」「似たもの一家」「新やじきた道中記」など、どの作品も本当に楽しいものばかりで、おすすめです。