わたしの暮らしのヒント集

暮しの手帖が発行している「わたしの暮らしのヒント集」という雑誌。先日のブログでも書きましたが、古本の値付けをしている最中に思わず読みふけってしまう本や雑誌というのがありまして、この雑誌もそういった中の一冊でした。ただ違うのは、気に入りすぎて自分の所有物にしてしまったことです。

医師・絵本作家・料理人・家具職人など、様々な職業を持つ30代から80代までの6世代に渡る男女15人の、時を経ていくつもの積み重ねていった経験から生まれ出た暮らしの知恵が掲載されています。気に入った理由というのは、経験者の〝生の言葉〝が美しかったからです。

いつか誰かに花を贈るとき、このお店で花を包んでもらいたいなと思っていたフラワーデザイナー高橋郁代さんの〝常識にとらわれたら、本当に美しいものも、見逃してしまうと思います。〝という言葉。仕入れで地方の花農家を訪れるとき、色が黒っぽくなったりして一般的には売り物にはならず捨てられてしまうような花。しかし、〝自分の目で見て美しいかどうか〝が重要な高橋さんは、そうして偶然の色や形によって生まれた〝規格外〝の花にも美しさを見出します。
この言葉は、古書を扱う仕事を持つわたしにとっても、こうした感性は大切にしていかなければ、と改めて思いました。

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堀井和子さん宅のテーブル。ミルクティー色のテーブルクロスがかわいいです。
暮しの手帖2011年6-7月号掲載の「私のテーブルクロス」というコーナーでこのクロスが紹介されていました。
京都の雑貨店で購入したスウェーデンの布だそうです。
「堀井和子さんの一日の過ごし方」と題したタイムスケジュールが載っているのですが、プライベートと仕事の配分がきちんとしていて無駄がなく、読むと背筋がぴしっとなります。

堀井和子さんの朝ごはんの本

来週末に開催されるGOOD FOOD MARKETに持っていく古本の値付け作業をしています。
本の値付けをしていると、つい読みふけってしまうことがあります。そんな今日の一冊は、堀井和子さんの「朝ごはんの空気を見つけにいく / 講談社」でした。

この本は、朝・昼・晩と3食、朝ごはんだったらいいのになと思うぐらい朝食好きの堀井和子さんが、家族や知人などから収集した朝ごはんのアンケートをまとめたものです。
パンかご飯か、コーヒーか紅茶か、あるいはお気に入りのジャムや愛用の食器など、堀井和子さんらしい美しいスタイリングとともに紹介されています。
この中の、持ち手が緑色の葉っぱみたいなロイヤルコペンハーゲンの黄色いティーカップがすっかり気に入ってしまいました。
普段はコーヒー党の私ですが、このカップでレモンティーが飲みたいと思いました。しかし、このシリーズ、残念なことに廃盤になっていました。いつかどこかの北欧雑貨のお店で見つけたいです。

Ursula(ウワスラ)のティーカップ

私は、こういう本が好きです。いろいろな人のそれぞれに好きなことや大切な時間、普段の暮らしの中のささやかなよろこび、など、そんなエピソードがまとめられた本がたくさんあったらいいな、と思っています。

座右の料理本

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本とコーヒー tegamisha」に、昭和の奥様冊子『奥様手帖』を納品しました。1960年頃から毎月、味の素から出版されていた料理冊子「奥様手帖」。書店では販売されず、通信販売で入手するシステムで、毎日のおかずやおべんとうづくりに役立つ豊富なレシピが掲載されていました。

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70年代の奥様手帖、中身の一部の写真です。
家庭で楽しむお菓子づくりなど、お菓子のデザインもどこか懐かしい感じがします。ぜひお手にとってご覧ください。

今日、値付けしながら読んでいた『暮しの手帖2012年8-9月号』に「わたしの好きな料理本」と題して、料理人や料理研究家などが「座右の料理本」をそれぞれ3冊ずつ紹介していました。
その中で、多くの人が座右の料理本としていたのが佐藤雅子さんの本でした。

確か、70年代の婦人雑誌「ミセス」だったかと思いますが、佐藤雅子さんのインタビュー記事が載っていました。
毎朝のご主人のお弁当づくり、これはご主人の希望で毎日サンドイッチとポットに入れた温かい紅茶と決まっていて、さらに保存食として作っておいた果物の洋酒漬けを刻んだものを入れた手作りクッキーも添えていたのだそう。
〝お弁当代はタダですよ。前の晩の自分のおかずを少しだけとっておけば、それでサンドイッチの具になりますから〝
ぴったり正確ではないかもしれませんが、このようなお話でした。

私も、佐藤雅子さんのように、季節の野菜や果物を使って保存食をたくさん作ったり(階段下の収納スペースに保存食が入ったガラス瓶が大量におさめられている写真を雑誌で見たことがあります)、材料を無駄にせず上手に使い切り、家族の健康のため栄養のバランスのとれたご飯を毎食用意できるようになりたい。
いつかそうなれるように精進したいと思います。

暮しの手帖について

一冊の古い暮しの手帖を目にし手にとった瞬間から、わたしの運命は大きく方向を変え、長年勤めた会社を退職し、その後まもなく古本屋となり、いまは自分が暮しの手帖をお客さまに売っています。

まず最初に読むのが、「ある日本人の暮し」という連載でした。
日本のどこかに住んでいる見知らぬ人々の暮し。

二人の子どもを育てながら「みどりのおばさん」を仕事としている働く主婦の一日。都会の真ん中で深夜まで小さな青果店を営むある夫婦。店にはトイレもなく、確か新橋の駅までわざわざ行かなければならなかったと言っていた若い奥さん。真夜中になって二人でようやく卵かけご飯を夕飯にしていたのでした。戦後まもなく両親を亡くし、雨漏りのするトタン屋根の家に肩を寄せ合って暮していた兄妹が、ある日抽選で新築の公団が当たり楽しそうに暮していた毎日。誌上で編集部が花嫁花婿を募集していたけれど、あの二人はその後それぞれ結婚したのだろうか。

今日は、イベントで販売する暮しの手帖の値付けをしていました。そこに厚焼き卵のサンドイッチの作り方が載っていて、それが実においしそうだったので、明日の朝食に早速作ろうと考えています。パンにマヨネーズとマスタードを薄く塗り、味付けは塩のみの卵をバターで焼き上げた厚焼き卵を挟みます。
温かいミルクコーヒーか、ミルクティーをお供に楽しみたいと思います。